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2021.4.28福島市立ふくしま中央認定こども園

🟢自己紹介じゃなかった…

姿を見つけ、

すぐに三輪車で近づいて来てくれたA君。

彼は、この春に入園した4歳児です。

「ぼくね、ほんだ!

「ほんだ ひろとだよ!

積極的だなあ☆~と感心。

「そう、

本田ひろと君ていうんだね?」

が…

「ちーがーう!!

ネームを見せてもらいました。

…あ、まったくちがいます。

彼は、なおも一生懸命アピールを繰り返します。

…解りました☆

「おおっ!そういうことね😊

『HONDA フィット』

お母さんの車のことだったのです!

子どもの心の中にたまっている

たくさんの『宝物』。

それを誰かに伝えたい☆

と思うその時が、

主体がONになるタイミング

なのかも知れません。

そして、子どもの主体は、

大人にも『ワクワクの種』を

もたらしてくれます。

後日、広告をゲットしました♪

今度行ったとき、聞いてみたい♪

「これかい?」

A君の座席はどこなのかな。

チャイルドシートは

セットしてもらうのかな。

自分で出来たりするのかな。

彼の『講釈』が楽しみです♪

思えば車の中は、

濃い時間が生まれる場でもあります。

家事をこなす『忙しいお母さん』は

そこにはいません。

気持ちが混じり合うHOTな空間ですね♡

🟢A or B ①

二人乗り三輪車は、

子どもたちに選択の場面をもたらします。

選択肢は、『前』か『後ろ』か。

そこには、

『運転手さん』『お客さん』

の役割が発生します。

4歳児D君に、

待っていた順番が訪れました。

ホクホクとハンドルを握りこぎ出します。

後ろでつかまっているのは、

ちっちゃくて華奢な4歳児Eちゃん。

D君、誇らしく嬉しそうです。

砂場手前のUターンで転機が訪れました。

新たな人物の登場です。

「か~し~て!

「まえ? うしろ?」

「うっしろ~♪」

「いいよ☆」

答えたのはEちゃんでした。

ニッコリと座席を譲ります。

乗り込んだF君は体格の大きな子です。

D君の運転が、立ちこぎに変わりました。

踏み込むようにペダルをこぎます。

「お~も~い~!

『降りて』

の願いがこもっていたかも知れませんが、

『運転手さん』を手放す気はないようです。

F君もまた、『お客さん』を満喫。

右に~左に~

車窓!?の景色を楽しんでいます。

『必死!』と『のほほん♪』

二つの顔は直線を折り返して行きました。

「すごい力だね~☆ 疲れたでしょ?」

別の子と交代したところで労ってみました。

「ぜ~んぜん!!

『力』という言葉に、

D君、腕をパンパン♪♪とアピール。

「きんにくだよ☆☆☆ 

「ホントだ! 足もだね☆☆☆ 

お疲れさま~♡」 

太股をさすってやりました。

🟢A or B ②

二人乗り三輪車を追いかける4歳児B君。

カーブに差し掛かり、向きを変えたところでやっと追いつきました。

「か~し~て!

乗り手は4歳児C君。

彼は、この春仲間入りした新入園児です。

ちょっと固まっています。

横取りされる…と思ったのか!?

ハンドルをギュッと握り直しました。

しばし沈黙が流れました。

「あのね、『いいよ』か、

『まっててね』っていうんだよ!

しびれを切らした

継続児のB君が言い放ちました。

C君、グイっとペダルをひと踏み。

B君の脇をこぎ去りました。

B君、追いかけます。

(うわっ…これは実力行使か!)

ついて行ってみました。

競輪選手の勢いでペダルをこぎ、

畑手前で向きを変えたC君。

ストンと三輪車横に立ちました。

「いいよー♪

心配に及ばずでした。

入園から3週間という時間の中で、

それはもうしっかりと培われていました。

『あったかな保育』が、

日常に浸透しているのを感じました♡

B君にも驚きました!

遊具の貸し借りの『システム』を

よく簡潔に説いてくれました☆

もちろん、奪い取ったりなんかせずに。

さすが継続児(0歳児からの)、

頼もしいです☆

さて、C君のダッシュ。

あれは、『最後にもうちょっとだけ』

ということだったのでしょうか。

ひょっとしたら、B君は、

分かっていたのかも知れません。

追いかける表情が柔らかでした。

足りなかったワード

『まっててね』も、

C君はすぐにマスターするでしょう☆

「よかったね~B君☆」

「ありがとね~C君♡」

B君のツーリングがスタートしました。

~C君は?

同じ車種をこいでいる別の子のところへ~♪

 「か~し~て♪♪♪」 

🟢こっちに作ろ♪ ①

4歳児H君・I君が、

穴掘りに没頭しています。

随時、得意げに深さをアピール。

そこへ登場した4歳児J君。

当たり前のように加わり、

スコップを突っ込みました。

「やんないでー!

「ぼくたちのなんだー!!

…J君、

大切なフレーズをおざなりにしていました。

「ま~ぜ~て」です。

しかも興奮し、

やる気スイッチ』が暴走しそうです。

「こっちに作ろ♪」

新たな穴作りに誘いました。

H君・I君の穴の近くで、

既にちょっと掘り始めつつ~。

J君のスイッチが切り替わりました。

サッと移動し、

掘削作業に取り組み始めました。

こんな時の提案は、

まるっきりかけ離れた場所でなく、

やりたい場面の近くに

~というのがいいのかも知れません。

J君がやりたかったのは、

『H君・I君と一緒に穴を掘りたい♪』

ということでした。

でも、拒絶されてしまった…

また、H君・I君にとっても、

今回は『二人でやりたかった』のです…

その思いを保障してやることも大切です。

大人の価値観で、『まぜてあげたら!』と、

安易に仕切ることではありません。

さて、『ほどよいお隣』での活動は、

『一緒感』をもたらしたようです。

『深さ』を見合う場面も生まれました。

『同時並行作業』のような広がりに

発展していきました。

よかった…

タイミングを逸したら、

トラブルが起きていたかも知れません。

スコップや砂はたちまち、

戦いの道具に

転じてしまっていたことでしょう。

友だちの近くで活動することには、

学びもあります。

「こうやると、

友だちの方に砂がいかないよ!」

スコップを裏に返し、

すくった砂をカパッとおいて見せました。

「これは、なかなか難しいよ。

3歳の人には出来ないかな~」

4歳児クラスに進級したてのJ君。

それを聞いて鼻が膨らみます。 

「で~きる~! 

○○ぐみだもん!!

ザクッ!パッ♪ ザクッ!パッ♪ 

見事な手つきです☆

周囲にも知らせました。

他の子どもたちが寄って来ました。

J君のスコップさばきに見とれます。 

先生たちにも絶賛され、

彼の動きはますますシャープになりました☆

🟢こっちに作ろ♪ ②

J君の穴に

子どもたちが集まって来ました。

4歳児K君。

たまっている水を目にするや否や、

突如スコップで砂を入れ始めました。

「やんないで!

J君が抗議するも、K君の心はもう、

チャプン♪という音に

すっかり魅せられてしまっています。

再びこの言葉です!

「こっちで作ろ♪」

彼の目的は、

たまった水に砂を入れること。

早くやってみたくてたまりません。

少し掘ると、すぐに水を汲みに走りました。

ザーッ!

吸い込まれていく水を追いかけるかのように砂を入れます。

たちまち穴は無くなりました。

その痕跡を一心に掘ったり、叩いたり~

K君の研究は続きました。

🟢まってました!水☆

J君の穴が、

満足いく深さに達したようです。

「みず もってくる!

すると、隣からも声が。 

「こっちにも もってきて!

声の主は、さっき彼を拒んだH君です。

「いいよー♪

なんて心の広いJ君☆

子どもたちの世界は

そういうものなのかも知れません。

それぞれが、自分の『今』に一生懸命です。

J君が、

じょうろに水を入れて戻ってきました。

「それ とって!

H君に指示を出します。

H君、心得たとばかり、

バケツを前に置きます。

J君が水を注ぎます。

バケツには半分くらい水がたまりました。

H君、もっと!という要求はしません。

J君は残りを自分の穴へ。

そしてまた、H君・I君の穴に

最後の最後を注ぎ入れました。

水が吸い込まれるのを見届け、

彼はまた水汲みに走りました。

ちゃっかり!?水を所望したH君と、

快く水をあげたJ君。

~予想だにしない光景でした。

まぜてもらえなかったJ君に、

つい肩入れしたくなりましたが、

口をはさまなくてよかった…

「自分で持ってきたら!」

なんて。

🟢こっちに作ろ♪ ③

また一人、

J君渾身の池(湖?)に

砂を入れる子が出現!

4歳児Lちゃんです。

彼女は、砂をチョイとつまんでは、

パッと投げ入れます。

そうっと穴をのぞき込んでまたひとつまみ。

J君が焦ります。

「やんないで!

「Lちゃん、こっちに作ろ♪」

彼女の『やりたい♪』が叶うのを最優先に、

環境を整えました。 

J君に水をオーダーしました。

「いいよ~♪

彼は颯爽と水場へ駆けて行きました。

J君に続き、I君も入れてくれました。

誰にも邪魔されない、

Lちゃんの池が出来上がりました。

ひとしきり砂を投げ入れていたLちゃんが

目を止めました。

誰かが置いていったじょうろです。

水も残っていました。

今度は、

『水を入れたい♪』がONになりました。

スコップでのかき混ぜにもトライ☆

ひとつの活動の満足感が、

新たな『やりたい♪』を

次々に生み出していきました♪♪♪

🟢その言葉…おぼえたて?

平たい容器に砂を入れているのは

4歳児G君。

やみくもに入れているわけではありません。

時折、容器の壁に押し当てたり、

かき混ぜたり。

そしてまた少量足してみたり~

を繰り返しています。

そのうち水を注ぎ入れてグルグル~♪

ひとしきり表面を観察したら、

今度は容器を傾け茶色の水を捨てます。

砂が出ないよう片手を添えながら。

そしてまた水。

今度は両手で沈んだ砂をすくい、

こすり合わせます。

(あ、これってもしかして…?)

静かに水を注ぎ、水位を確認して

『お仕事』はしめくくりとなりました。 

「おこめ やってるんだよ☆

きっと、毎日、

まとわりつきながら見ているのでしょう。

G君とお母さんが見えるようでした。

たぶん覚えたてなのかな?

「この てざわり~☆

使いたくてたまらない言葉が

たびたび口をついていました。

お母さんの声が聞こえてくるようでした。

語彙の獲得に、

あったかな背景があるって素晴らしい

と思いました。

それは、保育の中でも大切なことです。

わたしたちもまた、昔は保母でした。

肩書の中に『おかあさん』がありました♡

🟢意図があるんです ①

5歳児MちゃんとNちゃんが、

道具入れの前で品定めをしています。

どうやら、

思いつきで選んでいるのではないようです。

「これもあるといいかな~。

Nちゃんももってったら♪

「うん♪」

(Mちゃんがリードしているのかな…)

でも、

「あ!それいいね!! わたしも♪」

Nちゃんのチョイスに感心し、

Mちゃんも真似します。

そうして、

テーブルの上には次々に物が並びました。

配置についても、こだわりがあるようです。

さながら、

料理番組のようなレイアウトになりました。

5歳児のO君がやって来ました。

突如、

水の入ったバケツをテーブルに置きました。

でも、他の子に呼ばれ

すぐに立ち去りました。

MちゃんとNちゃん、

クスッと笑いました。

「びっくりしたね~!」

「どんっ!て」

静かな声で思い出し笑いをしています。

次に、Pちゃんがやって来ました。

彼女は、

二人が並べた道具を手に取りました。

Mちゃん・Nちゃんに、

困ったような空気が流れました。

でも、

キリリとしたPちゃんに

異を唱えることが出来ないようです。

Pちゃんに言ってみました。

「使っていいかどうかきいてみたら?」

Mちゃん・Nちゃんにも言いました。

「これから使おうとしている時も、

そう言っていいんだよ。」

Mちゃんがポツリと言いました。

「つかう…」

Pちゃんは、

道具入れのかごに向かいました。

自分で持ってくることにしたようです。

二人のテーブルと向き合うように、

もう一台のテーブルを並べてやりました。 

Pちゃんの『一緒にやりたい』

叶うように。

子どもたちにとって、

『これから使う予定』は

『使っていない』と同じになるのかな?

が、例えば料理の模倣においては、

鍋が登場する場面、

ザルが登場する場面があります。

どちらもなくてはならないもので、

手放すには無理があります。

しかし、

相手にとっても必要~であれば、

「使い終わったら返してね!

あとで使うものだから!」

もアリですね☆

MちゃんとNちゃん。

パッと見は、

たくさんの道具を二人で独占!?

しているような光景でもありました。

『みていた』ことで、

いろいろなことに気づかされました。

配置に意味があるのも分かりました。 

二人のお料理には

ぜ~んぶが不可欠なものでした。

「そんなにあるんだから、

ちょっとくらい貸してあげたら!」

…言わなくてよかった。

🟢意図があるんです ②

お片づけを見学していると、

子どもたちが口々に

自分たちなりの考えを教えてくれました。

道具の配色や向きについて、

どうやら『テーマ』があるようなのです☆

「いろのじゅんばんにかさねたんだよ♪

「あっちとこっちってならべたんだよ♪」

「うん!うん!なるほどね~!!」

「わかる!わかる!わかるよ~☆☆☆」

イラスト:Miho OTANI
イラスト:Miho OTANI

「砂」 によって、ふくしまの復興促進と、

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