🟢自己紹介じゃなかった…
姿を見つけ、
すぐに三輪車で近づいて来てくれたA君。
彼は、この春に入園した4歳児です。
「ぼくね、ほんだ!」
「ほんだ ひろとだよ!」
積極的だなあ☆~と感心。
「そう、
本田ひろと君ていうんだね?」
が…
「ちーがーう!!」
ネームを見せてもらいました。
…あ、まったくちがいます。
彼は、なおも一生懸命アピールを繰り返します。
…解りました☆
「おおっ!そういうことね😊」
『HONDA フィット』
お母さんの車のことだったのです!
子どもの心の中にたまっている
たくさんの『宝物』。
それを誰かに伝えたい☆
と思うその時が、
主体がONになるタイミング
なのかも知れません。
そして、子どもの主体は、
大人にも『ワクワクの種』を
もたらしてくれます。
後日、広告をゲットしました♪
今度行ったとき、聞いてみたい♪
「これかい?」
A君の座席はどこなのかな。
チャイルドシートは
セットしてもらうのかな。
自分で出来たりするのかな。
彼の『講釈』が楽しみです♪
思えば車の中は、
濃い時間が生まれる場でもあります。
家事をこなす『忙しいお母さん』は
そこにはいません。
気持ちが混じり合うHOTな空間ですね♡
🟢A or B ①
二人乗り三輪車は、
子どもたちに選択の場面をもたらします。
選択肢は、『前』か『後ろ』か。
そこには、
『運転手さん』『お客さん』
の役割が発生します。
4歳児D君に、
待っていた順番が訪れました。
ホクホクとハンドルを握りこぎ出します。
後ろでつかまっているのは、
ちっちゃくて華奢な4歳児Eちゃん。
D君、誇らしく嬉しそうです。
砂場手前のUターンで転機が訪れました。
新たな人物の登場です。
「か~し~て!」
「まえ? うしろ?」
「うっしろ~♪」
「いいよ☆」
答えたのはEちゃんでした。
ニッコリと座席を譲ります。
乗り込んだF君は体格の大きな子です。
D君の運転が、立ちこぎに変わりました。
踏み込むようにペダルをこぎます。
「お~も~い~!」
『降りて』
の願いがこもっていたかも知れませんが、
『運転手さん』を手放す気はないようです。
F君もまた、『お客さん』を満喫。
右に~左に~
車窓!?の景色を楽しんでいます。
『必死!』と『のほほん♪』
二つの顔は直線を折り返して行きました。
「すごい力だね~☆ 疲れたでしょ?」
別の子と交代したところで労ってみました。
「ぜ~んぜん!!」
『力』という言葉に、
D君、腕をパンパン♪♪とアピール。
「きんにくだよ☆☆☆」
「ホントだ! 足もだね☆☆☆
お疲れさま~♡」
太股をさすってやりました。
🟢A or B ②
二人乗り三輪車を追いかける4歳児B君。
カーブに差し掛かり、向きを変えたところでやっと追いつきました。
「か~し~て!」
乗り手は4歳児C君。
彼は、この春仲間入りした新入園児です。
ちょっと固まっています。
横取りされる…と思ったのか!?
ハンドルをギュッと握り直しました。
しばし沈黙が流れました。
「あのね、『いいよ』か、
『まっててね』っていうんだよ!」
しびれを切らした
継続児のB君が言い放ちました。
C君、グイっとペダルをひと踏み。
B君の脇をこぎ去りました。
B君、追いかけます。
(うわっ…これは実力行使か!)
ついて行ってみました。
競輪選手の勢いでペダルをこぎ、
畑手前で向きを変えたC君。
ストンと三輪車横に立ちました。
「いいよー♪」
心配に及ばずでした。
入園から3週間という時間の中で、
それはもうしっかりと培われていました。
『あったかな保育』が、
日常に浸透しているのを感じました♡
B君にも驚きました!
遊具の貸し借りの『システム』を
よく簡潔に説いてくれました☆
もちろん、奪い取ったりなんかせずに。
さすが継続児(0歳児からの)、
頼もしいです☆
さて、C君のダッシュ。
あれは、『最後にもうちょっとだけ』
ということだったのでしょうか。
ひょっとしたら、B君は、
分かっていたのかも知れません。
追いかける表情が柔らかでした。
足りなかったワード
『まっててね』も、
C君はすぐにマスターするでしょう☆
「よかったね~B君☆」
「ありがとね~C君♡」
B君のツーリングがスタートしました。
~C君は?
同じ車種をこいでいる別の子のところへ~♪
「か~し~て♪♪♪」
🟢こっちに作ろ♪ ①
4歳児H君・I君が、
穴掘りに没頭しています。
随時、得意げに深さをアピール。
そこへ登場した4歳児J君。
当たり前のように加わり、
スコップを突っ込みました。
「やんないでー!」
「ぼくたちのなんだー!!」
…J君、
大切なフレーズをおざなりにしていました。
「ま~ぜ~て」です。
しかも興奮し、
『やる気スイッチ』が暴走しそうです。
「こっちに作ろ♪」
新たな穴作りに誘いました。
H君・I君の穴の近くで、
既にちょっと掘り始めつつ~。
J君のスイッチが切り替わりました。
サッと移動し、
掘削作業に取り組み始めました。
こんな時の提案は、
まるっきりかけ離れた場所でなく、
やりたい場面の近くに
~というのがいいのかも知れません。
J君がやりたかったのは、
『H君・I君と一緒に穴を掘りたい♪』
ということでした。
でも、拒絶されてしまった…
また、H君・I君にとっても、
今回は『二人でやりたかった』のです…
その思いを保障してやることも大切です。
大人の価値観で、『まぜてあげたら!』と、
安易に仕切ることではありません。
さて、『ほどよいお隣』での活動は、
『一緒感』をもたらしたようです。
『深さ』を見合う場面も生まれました。
『同時並行作業』のような広がりに
発展していきました。
よかった…
タイミングを逸したら、
トラブルが起きていたかも知れません。
スコップや砂はたちまち、
戦いの道具に
転じてしまっていたことでしょう。
友だちの近くで活動することには、
学びもあります。
「こうやると、
友だちの方に砂がいかないよ!」
スコップを裏に返し、
すくった砂をカパッとおいて見せました。
「これは、なかなか難しいよ。
3歳の人には出来ないかな~」
4歳児クラスに進級したてのJ君。
それを聞いて鼻が膨らみます。
「で~きる~!
○○ぐみだもん!!」
ザクッ!パッ♪ ザクッ!パッ♪
見事な手つきです☆
周囲にも知らせました。
他の子どもたちが寄って来ました。
J君のスコップさばきに見とれます。
先生たちにも絶賛され、
彼の動きはますますシャープになりました☆
🟢こっちに作ろ♪ ②
J君の穴に
子どもたちが集まって来ました。
4歳児K君。
たまっている水を目にするや否や、
突如スコップで砂を入れ始めました。
「やんないで!」
J君が抗議するも、K君の心はもう、
チャプン♪という音に
すっかり魅せられてしまっています。
再びこの言葉です!
「こっちで作ろ♪」
彼の目的は、
たまった水に砂を入れること。
早くやってみたくてたまりません。
少し掘ると、すぐに水を汲みに走りました。
ザーッ!
吸い込まれていく水を追いかけるかのように砂を入れます。
たちまち穴は無くなりました。
その痕跡を一心に掘ったり、叩いたり~
K君の研究は続きました。
🟢まってました!水☆
J君の穴が、
満足いく深さに達したようです。
「みず もってくる!」
すると、隣からも声が。
「こっちにも もってきて!」
声の主は、さっき彼を拒んだH君です。
「いいよー♪」
なんて心の広いJ君☆
子どもたちの世界は
そういうものなのかも知れません。
それぞれが、自分の『今』に一生懸命です。
J君が、
じょうろに水を入れて戻ってきました。
「それ とって!」
H君に指示を出します。
H君、心得たとばかり、
バケツを前に置きます。
J君が水を注ぎます。
バケツには半分くらい水がたまりました。
H君、もっと!という要求はしません。
J君は残りを自分の穴へ。
そしてまた、H君・I君の穴に
最後の最後を注ぎ入れました。
水が吸い込まれるのを見届け、
彼はまた水汲みに走りました。
ちゃっかり!?水を所望したH君と、
快く水をあげたJ君。
~予想だにしない光景でした。
まぜてもらえなかったJ君に、
つい肩入れしたくなりましたが、
口をはさまなくてよかった…
「自分で持ってきたら!」
なんて。
🟢こっちに作ろ♪ ③
また一人、
J君渾身の池(湖?)に
砂を入れる子が出現!
4歳児Lちゃんです。
彼女は、砂をチョイとつまんでは、
パッと投げ入れます。
そうっと穴をのぞき込んでまたひとつまみ。
J君が焦ります。
「やんないで!」
「Lちゃん、こっちに作ろ♪」
彼女の『やりたい♪』が叶うのを最優先に、
環境を整えました。
J君に水をオーダーしました。
「いいよ~♪」
彼は颯爽と水場へ駆けて行きました。
J君に続き、I君も入れてくれました。
誰にも邪魔されない、
Lちゃんの池が出来上がりました。
ひとしきり砂を投げ入れていたLちゃんが
目を止めました。
誰かが置いていったじょうろです。
水も残っていました。
今度は、
『水を入れたい♪』がONになりました。
スコップでのかき混ぜにもトライ☆
ひとつの活動の満足感が、
新たな『やりたい♪』を
次々に生み出していきました♪♪♪
🟢その言葉…おぼえたて?
平たい容器に砂を入れているのは
4歳児G君。
やみくもに入れているわけではありません。
時折、容器の壁に押し当てたり、
かき混ぜたり。
そしてまた少量足してみたり~
を繰り返しています。
そのうち水を注ぎ入れてグルグル~♪
ひとしきり表面を観察したら、
今度は容器を傾け茶色の水を捨てます。
砂が出ないよう片手を添えながら。
そしてまた水。
今度は両手で沈んだ砂をすくい、
こすり合わせます。
(あ、これってもしかして…?)
静かに水を注ぎ、水位を確認して
『お仕事』はしめくくりとなりました。
「おこめ やってるんだよ☆」
きっと、毎日、
まとわりつきながら見ているのでしょう。
G君とお母さんが見えるようでした。
たぶん覚えたてなのかな?
「この てざわり~☆」
使いたくてたまらない言葉が
たびたび口をついていました。
お母さんの声が聞こえてくるようでした。
語彙の獲得に、
あったかな背景があるって素晴らしい
と思いました。
それは、保育の中でも大切なことです。
わたしたちもまた、昔は保母でした。
肩書の中に『おかあさん』がありました♡
🟢意図があるんです ①
5歳児MちゃんとNちゃんが、
道具入れの前で品定めをしています。
どうやら、
思いつきで選んでいるのではないようです。
「これもあるといいかな~。
Nちゃんももってったら♪」
「うん♪」
(Mちゃんがリードしているのかな…)
でも、
「あ!それいいね!! わたしも♪」
Nちゃんのチョイスに感心し、
Mちゃんも真似します。
そうして、
テーブルの上には次々に物が並びました。
配置についても、こだわりがあるようです。
さながら、
料理番組のようなレイアウトになりました。
5歳児のO君がやって来ました。
突如、
水の入ったバケツをテーブルに置きました。
でも、他の子に呼ばれ
すぐに立ち去りました。
MちゃんとNちゃん、
クスッと笑いました。
「びっくりしたね~!」
「どんっ!て」
静かな声で思い出し笑いをしています。
次に、Pちゃんがやって来ました。
彼女は、
二人が並べた道具を手に取りました。
Mちゃん・Nちゃんに、
困ったような空気が流れました。
でも、
キリリとしたPちゃんに
異を唱えることが出来ないようです。
Pちゃんに言ってみました。
「使っていいかどうかきいてみたら?」
Mちゃん・Nちゃんにも言いました。
「これから使おうとしている時も、
そう言っていいんだよ。」
Mちゃんがポツリと言いました。
「つかう…」
Pちゃんは、
道具入れのかごに向かいました。
自分で持ってくることにしたようです。
二人のテーブルと向き合うように、
もう一台のテーブルを並べてやりました。
Pちゃんの『一緒にやりたい』も
叶うように。
子どもたちにとって、
『これから使う予定』は
『使っていない』と同じになるのかな?
が、例えば料理の模倣においては、
鍋が登場する場面、
ザルが登場する場面があります。
どちらもなくてはならないもので、
手放すには無理があります。
しかし、
相手にとっても必要~であれば、
「使い終わったら返してね!
あとで使うものだから!」
もアリですね☆
MちゃんとNちゃん。
パッと見は、
たくさんの道具を二人で独占!?
しているような光景でもありました。
『みていた』ことで、
いろいろなことに気づかされました。
配置に意味があるのも分かりました。
二人のお料理には
ぜ~んぶが不可欠なものでした。
「そんなにあるんだから、
ちょっとくらい貸してあげたら!」
…言わなくてよかった。
🟢意図があるんです ②
お片づけを見学していると、
子どもたちが口々に
自分たちなりの考えを教えてくれました。
道具の配色や向きについて、
どうやら『テーマ』があるようなのです☆
「いろのじゅんばんにかさねたんだよ♪」
「あっちとこっちってならべたんだよ♪」
「うん!うん!なるほどね~!!」
「わかる!わかる!わかるよ~☆☆☆」